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2021/09/09 06:23

実物を注意深く見る
CH25は椅子のサイドフレームが後ろに伸びて後脚を兼ねた、ウェグナーさんが好きだったと言われる構造です。
このことからも全体の部品点数が少なく製造しやすい良い椅子だと思います。
しかし全体を包んだようなペーパーコードはどう編むのか?さっぱりわかりません。
編み方がわからなければ椅子のフレームを作れるはずもありません。

それまで私は実物のCH25をそれほど注意深く見ていませんでした。
でもミニチュアを作ろうとするなら編み方を解明しなければなりません。私が住む広島でも専門店を回れば展示品があったかもしれませんが、お店で椅子の裏側まで時間をかけて見るわけにもいきません。
調べるうちに東京の新国立美術館のホールにたくさんのCH25が並んでいるのを知りました。見放題、座り放題です。

2019年5月 武蔵野美術大学の名誉教授、島崎信先生にお目にかかるという超貴重な体験のあと、新国立美術館に行ってみました。

ありました!CH25。わくわくします。

背を後ろから見ると、飾り編みのようなものがあるではありませんか。

「なんだこれは?なんのために?」わかりません。
「ウェグナーさんのデザインに無駄な飾りがあるわけがない。理由があるはずだ」
でもわかりません。
それでも1時間以上かけてじっくり見ることができ、いろいろな発見をして帰りました。

実物の製造工程を考える
ミニチュアを製作する際にわからないことがあると、「実際のこの椅子はどのような工程で製造するのだろう」と考えることで問題解決できることが多いです。
CH25の背面の飾り編みもこれを考えるとすぐわかりました。ペーパーコードをつなぐスペースを確保するためです。
Yチェアも同じですが、長い1本のペーパーコードで座を編もうとすると長いコードを手繰る手間が大変なので、数メートル程度のコードで編み、座の裏面の何カ所かで結んでつないでいます。
CH25も同じはずです。背の横編みは背の前面背面ともに露出しているため、どこかで次のペーパーコードとの結び目を隠すスペースが必要なんです。
製造上どうしても必要なスペースを作るためにあのような美しい飾り編みを施したわけです。ウェグナーさんはすごいと改めて思いました。

お楽しみに!